クローン病ってどんな病気?

クローン病は炎症性腸疾患のなかの1つの病気で小腸や大腸なども腸管壁に炎症や潰瘍などができる慢性の炎症性疾患(※図1)です。発症年齢は若年者(男性20~24歳、女性15~20歳)に多く男女比(※図2)は2:1の割合で男性に多くみられます。主な自覚症状は腹部全体の痛みや下痢や血便で、発熱や消化吸収が悪くなるために体重の減少なども起こります。症状が落ち着いたり悪化したりを繰り返し、長い経過のなかで徐々に病気が進行します。

※図1クローン病

※図2クローン病の推定発症年齢

クローン病は消化管のほとんどすべての部分に起こる可能性があり、発生場所によって小腸型、小腸大腸型、大腸型の3タイプに分けられます。発現する場所によっても様々な合併症がおこります。最近は新しい薬剤の開発によって、以前より治療法は劇的に進歩してきましたが、現在のところこの病気を完治させる治療法はありません。そのためクローン病は難病指定されており、治療にかかる医療費の全部または一部の公費助成を受けることができます。

クローン病の診断と治療

クローン病の疑いがある場合、便検査・血液検査・感染症検査・大腸内視鏡による大腸検査などを行い、総合的な診断を行います。特に、消化管の変化を確認するために大腸内視鏡検査が重要になります。

治療には、症状に応じた内科的治療と外科的治療(手術)があります。内科的治療の基本は薬物療法で、5-ASA(アミノサリチル酸)製剤、副腎皮質ステロイド、免疫調節剤などを使用し大腸粘膜の異常な炎症を抑え症状をコントロールします。薬物療法で症状がコントロールできない場合には、外科治療(手術)の対象になることがあります。

前項のような自覚症状が続く場合は、すみやかに当クリニックにて検査することをお勧めいたします。