ピロリ菌感染

H. pylori Infection

ピロリ菌感染症とは

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に生息する細菌で、胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんの発症と深く関係しています。感染は主に幼少期に起こり、一度感染すると自然に排除されることは少ないとされています。多くの感染者は無症状ですが、内視鏡検査により胃の状態を確認し、感染が判明した場合は早期の除菌治療が推奨されます。

ピロリ菌感染による疾患の割合

  • 慢性胃炎40
  • 胃・十二指腸潰瘍30
  • 胃がん20
  • その他10

ピロリ菌感染は、慢性胃炎(約40%)や胃・十二指腸潰瘍(約30%)、胃がん(約20%)の発症に関与します。感染が持続すると胃のさまざまな疾患リスクが高まることが知られており、早期の診断と適切な除菌が重要です。

年代別にみるピロリ菌感染率

  • 10代以下
    5
  • 20代
    10
  • 30〜40代
    25
  • 50〜60代
    35
  • 70代以上
    45

ピロリ菌の感染率は加齢とともに上昇し、10代以下では低いものの、50〜60代で約3〜4割、70代以上では約半数が感染しています。年代別の感染率を把握することで、除菌や定期検診の必要性を理解する手がかりになります。

ピロリ菌感染による症状

ピロリ菌に感染しても無症状の方も多く見られますが、次のような症状が現れることもあります。

  • 胃の不快感・痛み
  • 胃もたれ・膨満感
  • 吐き気・食欲不振
  • 空腹時の痛み
  • 便の黒色化(出血性潰瘍による)

ピロリ菌感染の原因・リスク

ピロリ菌は幼少期の不衛生な環境での生活や、家族内感染が主な原因とされています。以下のような要因も感染リスクを高めます。

  • 井戸水・不衛生な飲食物の摂取
  • 家族間での口移し・食器の共有
  • 同居家族に感染者がいる場合
  • 高齢層(日本では感染率が高い)

ピロリ菌の検査・診断方法

ピロリ菌の感染有無を調べるには、複数の検査方法があり、状況に応じて適切なものを選択します。当院では、除菌治療の前後や症状に応じて検査を組み合わせ、より確実な診断を行っています。

尿素呼気試験

呼気中の成分を分析してピロリ菌の有無を調べる精度の高い検査で、除菌後の確認にも有効です。

迅速ウレアーゼ試験

内視鏡で採取した胃粘膜の組織を試薬に反応させ、感染の有無を短時間で判定します。

血液・尿・便の検査

血液や尿中の抗体、便中の抗原を調べることで、非内視鏡的にピロリ菌感染を推定できます。

上部内視鏡検査(胃カメラ)

胃粘膜の萎縮や炎症の状態を直接確認し、必要に応じて組織検査を実施します。

ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌陽性と診断された場合は、保険適用にて除菌治療を行います。主に3剤併用療法が用いられます。

  • PPIまたはP-CAB(胃酸抑制薬)
  • 抗菌薬(クラリスロマイシン・アモキシシリン)
  • 1週間の内服で一次除菌を行い、効果判定検査を実施
  • 除菌失敗時は二次除菌を実施

除菌後の注意点と再発予防

除菌成功後も、定期的な内視鏡検査が推奨されます。特に萎縮性胃炎の進行がある場合は、胃がんリスクの管理が重要です。

  • 除菌後も胃がんの可能性はゼロではない
  • 生活習慣(喫煙・飲酒・塩分)に注意
  • バランスの取れた食事とストレス管理
  • 1年に1回の内視鏡検査がおすすめ

ピロリ菌に関するよくあるご質問

ピロリ菌は誰でも感染する可能性がありますか?

衛生環境が整っていなかった時代に育った中高年層で感染率が高く、家庭内での接触による感染リスクもあります。子どもでも感染する可能性はありますが、近年は衛生環境の向上により感染率は低くなっています。

ピロリ菌に感染するとどんな症状が出ますか?

多くの場合は無症状ですが、感染が長期間続くと慢性胃炎や胃潰瘍、胃がんのリスクが高まります。胃の不快感や胸やけ、胃もたれがある場合は検査を検討することが推奨されます。

ピロリ菌の除菌で胃がんを予防できますか?

除菌により胃がん発症のリスクを大幅に下げることができます。ただし、除菌後も完全にゼロになるわけではないため、定期的な内視鏡検査による経過観察が重要です。

ピロリ菌の検査はどのように行いますか?

呼気テスト、血液検査、便検査、内視鏡での組織検査など、複数の方法があります。症状や年齢、リスクに応じて適切な検査方法を医師が判断します。

ピロリ菌除菌治療に副作用はありますか?

一時的な下痢、味覚の変化、発疹などが起こることがありますが、重篤な副作用は稀です。症状が強い場合や長引く場合は医師に相談してください。