食道がん

Esophageal Cancer

食道がんとは

食道がんは、主に中高年の男性に多く発症し、初期には自覚症状がほとんどないのが特徴です。日本国内では男性に高い傾向がありますが、近年は女性の発症も増加傾向にあります。食道がんには、上皮細胞由来の扁平上皮がんと、胃寄りに発生し増加傾向にある腺がんがあります。喫煙・飲酒・高温飲食・バレット食道などが主なリスク因子であり、「胸の違和感」や「飲み込みにくい感じ」などの症状が現れても、他の病気と勘違いされがちです。そのため、自覚症状がなくても内視鏡検査による早期発見が重要です。

食道がんの組織別割合

  • 扁平上皮がん85
  • 腺がん15

日本の食道がんは、約85%が扁平上皮がんで、腺がんは約15%を占めます。扁平上皮がんは主に飲酒・喫煙と関連があり、腺がんは食生活の欧米化や肥満との関連が指摘されています。近年は腺がんの割合も増加傾向にあり、年代や地域によって比率に差が見られます。

年代・男女別 食道がんの発症割合

  • 30代以下
    10.5
  • 40代
    31
  • 50代
    123
  • 60代
    308
  • 70代以上
    4513
  • 男性
  • 女性

日本では、食道がんは年代が上がるほど発症割合が高く、特に60代以降に急増し、70代以上でピークを迎えます。男性は女性より約5〜6倍多く発症し、男女差が大きいことも特徴です。若年層(30代以下)の発症はまれですが、注意は必要です。早期発見には、年齢や性別に応じた定期的な検診が推奨されます。

食道がんの主な症状

初期には症状が乏しいことが多いですが、がんが進行するにつれて以下のような症状がみられます。食道がんは症状の出現時にはすでに進行していることが多いため、早期発見が重要です。

  • 食べ物がつかえる感じ(嚥下障害)
  • 胸の痛みや違和感
  • 体重減少、食欲不振
  • 声がかすれる
  • 喉の違和感や咳が続く
  • 吐血や黒色便(進行時)

食道がんの原因・リスク要因

食道がんは、生活習慣や遺伝要因など複数の因子が重なって発症します。以下のような要素がリスクとして知られています。

  • 長年の喫煙習慣
  • 多量の飲酒(特にアセトアルデヒド分解能が低い方)
  • 熱い飲み物や刺激物の習慣的摂取
  • バレット食道(腺がんの発症リスク)
  • 家族歴や遺伝的体質
  • 肥満や逆流性食道炎
  • 亜鉛・ビタミン欠乏など栄養状態の乱れ

食道がんの検査・診断方法

食道がんの診断には上部消化管内視鏡(胃カメラ)が中心的な検査となります。内視鏡によって食道粘膜を直接観察し、病変の有無を詳細に評価することができます。当院では、必要に応じて組織を採取して病理検査を実施し、がんの確定診断を行います。また、症状の聞き取りや血液検査なども組み合わせ、総合的に病状を把握します。経鼻内視鏡鎮静下での検査にも対応しており、苦痛の少ない内視鏡診療を心がけています。

上部内視鏡検査(胃カメラ)

食道内部の粘膜を直接観察します。早期の微細ながんや粘膜の変化も確認できるため、食道がんの早期発見には非常に有効です。必要に応じて、病変部の組織を採取して生検を行います。

問診および症状評価

嚥下障害や胸の違和感、体重減少などの症状、さらに飲酒・喫煙の習慣や既往歴などを丁寧に伺います。これらの情報をもとに、内視鏡検査の必要性を判断します。

血液検査

栄養状態や貧血の有無を確認するために実施し、補助的に腫瘍マーカーを測定することもあります。内視鏡検査と併用して、より総合的な評価につなげます。

食道がんの治療法

治療はがんの進行度(ステージ)や患者さまの状態に応じて選択されます。早期に発見された場合は、より身体への負担が少ない治療が可能です。

  • 内視鏡的切除(EMR/ESD):早期がんに対する低侵襲治療
  • 手術療法:食道の切除および再建術
  • 放射線治療・化学療法:進行例では併用療法が標準
  • 化学放射線療法(CRT):手術が困難な場合の根治的治療
  • 緩和ケア:症状の緩和とQOLの維持を重視した治療

食道がんの予後と再発予防

治療後の経過観察と生活習慣の改善が再発予防には重要です。特に内視鏡での定期的なチェックを継続することで、再発の早期発見も可能となります。食道がんの5年生存率はステージにより大きく異なり、早期であれば80%以上が見込まれます。早期発見が予後の鍵です。

  • 定期的な内視鏡・画像検査による経過観察
  • 禁煙・禁酒の継続
  • 栄養バランスの取れた食事
  • 適度な運動と十分な休養
  • ストレス軽減とメンタルケア

食道がんに関するよくあるご質問

食道がんは予防できますか?

完全に防ぐことはできませんが、禁煙・節酒・バランスの良い食生活により発症リスクを大幅に下げることが可能です。特に喫煙と飲酒の習慣がある方は生活改善が効果的な予防につながります。

食道がんの初期症状にはどんなものがありますか?

初期の食道がんは自覚症状がほとんどないことが多いですが、進行すると食べ物がつかえる感じ、胸の痛み、声のかすれ、体重減少などが現れることがあります。気になる症状がある場合は早めの受診が大切です。

食道がんは検診で見つけられますか?

はい。内視鏡検査(胃カメラ)は食道がんの早期発見に非常に有効です。症状がなくても定期的な検査を受けることで、早期の段階で見つかる可能性が高まります。特に喫煙・飲酒の習慣がある方は検査が推奨されます。

食道がんの治療法にはどのようなものがありますか?

食道がんの治療には、内視鏡治療、手術、放射線治療、化学療法などがあります。がんの進行度や体調に応じて最適な治療法が選ばれるため、専門医とよく相談することが重要です。

食道がんの手術後に食事制限はありますか?

手術後は食道の形が変わるため、一度に多く食べるのではなく少量ずつよく噛んで食べることが必要です。油っこい食事や刺激物を控えるなど、個々の状態に応じた工夫が求められます。必ず医師や管理栄養士の指導に従いましょう。